フレッシュセミナー1 第1会場 2階おしどり 8:30~9:20
~頭部領域の血管造影の予備知識:脳血管解剖・疾患~
座長 横浜市立大学附属市民総合医療センター 塩入 知子
頭部領域の血管造影の予備知識1『脳血管解剖』
東海大学医学部付属病院放射線技術科 小久保 翔吾
CTやMRI装置の進歩により血管撮影は治療目的に施行されることが多いが、依然として「目的とする血管を選択的に撮影可能である」ことや、「血行動態の把握が可能である」という利点、から、いまだ重要な検査となっている。検査を円滑に進めていく上で、手技に携わる診療放射線技師には様々な事柄に理解が必要である。特に血管解剖の知識が必要不可欠となる。本セッションでは、頭部血管撮影で必須知識となる内頚動脈系および、椎骨脳底動脈系についてはもちろん、シャン卜系疾患などで必要となる外頚動脈系の解剖についても、実際の臨床画像を交えて解説を行う。また、大動脈弓分岐部の破格や、用いられるデバイスなどについても同様に解説を行う。
頭部領域の血管造影の予備知識2 『脳血管疾患』
横浜市立大学附属市民総合医療センター放射線部 金原 圭輔
血管撮影室における診療放射線技師の大きな役割の1つは、診断及び治療に活かせる画像を医師に提供し、術者支援を行うことである。そのため、私たち診療放射線技師は解剖学的な知識とともに、疾患に対する知識も持ち合わせる必要がある。血管撮影室で検査及び治療を行う脳血管疾患は、脳という器官の特性上、同一疾患であっても発生箇所によりその症状は異なる。また疾患ごとに発症機序や好発部位も違う。そのため疾患の特徴を知ることは、臨床に活かせる画像提供による術者支援、そして医療の質の向上につながる。
本セミナーでは、当院の血管撮影室で取り扱うことの多い脳血管疾患を例に、検査及び治療に携わる上で必要となる疾患の知識や撮影技術について、血管撮影室の新任診療放射線技師向けに講義する。また診療放射線技師として、術中に意識している点や気を付けている点についても併せて講義するので、今後の業務に活かして頂きたい。
フレッシュセミナー2 第2会場 2階くじゃく 8:30~9:20
X線撮影 ~散乱線補正の使用経験~
座長 北里大学病院 岡本 啓公
X線撮影において散乱線除去に用いられていたグリッドやリスを使用せす、散乱線成分を推定する画像処理技術が開発され、その有用性が報告されている。
今回、運用を行っている3施設からメー力のカタログデータからでは読み取ることができない、実状について発表していただく。
散乱線補正の使用経験1 【キヤノン】
聖マリアンナ医科大学病院 田沼 隆夫
散乱線補正処理が臨床利用され数年が経過します。現在、多くの施設から使用経験などに関して学会や研究会で報告されており、その是非や利用方法なども熱く議論されています。
当院でも導入当初に散乱線補正処理の検討を行ない、その利用を試みましたが、
- グリッドを使用した従来画像と比較すると『違和感』がある。
- 白とびや黒つぶれなど、条件次第ではアーチファクトが生じる可能性がある。
などの理由から使用を見送った経験があります。
では全く使えないかと言えばそうではありません。グリッドを使用せすに充分な画質を担保できる散乱線補正処理は今だかつてない『画期的な代物』、ゆえにこの代物を眠らせておくのはいかにも損ではないかと結論づけます。
本セミナーでは、散乱線補正処理に対して『どのように検討したのか』、『どうして運用をあきらめたのか』、『どのよなう使い道があるのかJ などなど、DRが大好きなひとりの技師の本音を聞いていただければと思います。
散乱線補正の使用経験2【コ二力ミノルタ】
東海大学医学部付属病院 富安 恭子
当院では、AeroDR PORTABLE SYSTEMを病室撮影で使用しています。セミナーの題である散乱線補正処理(Intelligent Grid 処理(以下IG処理))は胸腹部に適用して業務を行っています。当院に導入した当時は、開発段階の処理でした。通常の画像処理であれば、使用と同時進行で検討を行うことが可能です。しかし、IG処理は収集データに対しての処理ということでは通常の画像処理と同じですが、この処理を適応させるにはGrid を使用しないという撮影方法自体を変化させることになります。画像処理であれば臨床上問題となる場合は修正することが可能ですが、IG処理の場合には処理がうまくいかないと再撮影となるため無駄な被ばくを患者さんに与えてしまうことが懸念され導入と同時に使用開始とはなりませんでした。
IG処理を使用開始するにあたり、物理的・視覚的に様々な検討を行いました。導入にするにあたっての懸念されたこと、実際に行った検討の一部をフレッシユセミナーということで、自施設の画像の確認に使用できるものも含めてお話しできたらと考えています。
さらに、実際の操作方法と運用時の注意点についてなどもお話しさせていただきたいと思います。
散乱線補正の使用経験3【富士フィルム】
横浜市立大学附属病院 谷藤 都美
[目的]富士フィルム社製散乱線推定技術(Virtual Grid、以下VG)が導入された。今回、初期評価および使用方法の工夫などの使用経験について報告をする。
[経緯]2014年より一般撮影・病棟撮影においてFPDを導入し、2017年より病棟撮影のみVGの導入を行った。導入に際してGrid とVGを用いた撮影時のX線斜入における画像への影響について評価を行った。また、VGは撮影条件(管電圧mAs値など)を撮影後にコンソールで入力し画像処理を行たうめ、導入前よりも画像提出までに時間を要してしまう。そこで、胸部ファントムを用いて撮影条件とパラメータの関係を視覚評価し、パラメータ入力方法の改善を行った。
[結論]VGを用いる乙とにより X線の斜入による画像への影響力が少なくなり、特に胸部経過観察において、安定した濃度の画像出力が行えるようになった。また、パラメータ入力について入力が必要な範囲を設定し、簡素化を行ったことで、画像処理時間の短縮に繋がった。